多分、もう見たくないから。
アルコール依存患者の家族だった時期がある。
12年くらい前になるか。
私が支えないとダメなんだと思ってて、
必死で必死で働いて動いてしてた頃。
勉強会とかも仕事の都合つけて無理やり出てた頃。
そのうち、勉強会でも仕事でも起きていられなくなって、
まともに仕事できなくなって解雇されてしまい、
同業になんとか転職するもそこも試用期間で切られちゃって。
働ける人間が私しかいなかったから、
派遣会社登録して幾つか仕事もらって、
定時で終わったら家庭教師とか個別指導の塾とかにも行ってた。
気がついたら、私も壊れてた。
ものすごく小さなきっかけで涙が止まらなくなったとき、
「私こんなに我慢しなくていいんじゃない?」
って気持ちがふっと湧いてきて。
母は頼れなかった。頼りたくなかった。
正直なところ、母から逃げたかった。
母の望む自慢の理想の娘にはなれなかった。
今もそうだけど、物理的な距離を置いて、やっとなんとかなってる。
なんとか納得してもらって、離れた。要は逃げた。
戸籍上も他人になった。
その半年後にあっという間にあいつは消えた。
そのしんどかった記憶を、私はなんでだか思い出せない。
静止画で出てくるのが精一杯。
多分もう、その画面を見たくないんだ、私は。
そんな状況から離れて、故郷からも離れて、もうすぐ10年。
迎え入れてくれた街はとてもおおらかな所だった。
きっとここだったから私は緩やかに回復できたんだろう。
今もまだ危なっかしいけど。
生きろと言われた約束だけは守りきる。
それだけは、絶対に。